なぜこう書くのか
経緯書を書く際、人が最も犯しやすいミスは「弁解」と「事実」を同じ文に混ぜてしまうことです。「急いで処理しようとして過去のファイルを開いてしまいました」と書くと、読み手は事実関係の確認を後回しにして態度や言い訳に目を向け始めます。このプロンプトの役割は、その2つを構造的に切り離すことです。
手順を分割して指示しているのはそのためです。一度に「経緯書を書いて」と頼むと、モデルは整理・判断・文章作成を一括で処理しようとし、記憶にない時刻をそれらしくでっち上げてしまいます。整理 → 事実と推測の分離 → 作文 → 原因の整理と区切ることで、中間結果が可視化され、(推測)とマークされた箇所だけを重点的に確認できます。
制約の段落では、感情表現や責任転嫁を防ぎます。事故報告書において他部署を原因として名指しした一文は、事実の真偽に関わらず文書全体の目的を歪めてしまいます。法的な判断や処分の言及を禁じているのも同様の理由です。それらを判断するのは報告書を受け取る側の役目です。
最後に「事前に質問させる」ステップを入れたのは時刻の整合性のためです。メモの時刻は抜けていることが多いですが、モデルは空白を見つけると前後の文脈から勝手に時刻を創作しがちです。ひとつの捏造された時刻が文書全体の信用を損なうため、勝手に埋めさせず質問させる設計が安全です。
用語が分からなければAha AIで: chain-of-thought, hallucination
悪い例との比較
メール誤送信の経緯書を書いて
(メモを貼り付け)
出力結果はお詫び文のような内容になってしまいます。「深く反省しており、二度とこのようなことがないよう努めます」といった文面が大半を占め、肝心の「何時何分に何をしたか」が本文中に散らばり、監査担当者が時系列に直す手間が発生します。抜けていた時刻もそれらしい数字で勝手に埋められるため、後から送信ログと照合した際に食い違いが生じ、文書を一から書き直すことになります。
バリエーション
時刻の記録がほとんど残っていない場合
{{事件の概要}}に関する経緯報告書を作成したいのですが、正確な時刻の記録がほとんど残っていません。まず、私が確認すべき記録(メール送信時刻、チャット履歴、システムログなど)のチェックリストを作成してください。その上で、以下のメモから時刻が特定できる行と特定できない行を分類し、表形式で提示してください。報告書の作成は、私が時刻を補完した後に行います。
""" {{時間帯別のメモ}} """
記憶だけに頼って時刻を書くと、後でログと食い違います。文書を作成する前に、まず確認すべき客観的データの一覧を出力させます。
顧客向けの説明文に書き換える場合
以下の社内向け経緯報告書の内容を、顧客企業向けの報告・説明文に書き換えてください。社内専門用語や担当者名は除外し、顧客が最も知りたい順序(何が起きたか・顧客への影響範囲・現在どのような対応を取ったか・今後どう改善するか)に再構成してください。原因は{{原因}}、対応策は{{再発防止の策}}の範囲内のみで記述し、確定していない約束事は含めないでください。
""" {{時間帯別のメモ}} """
社内文書と顧客向け文書では求められる構成順が異なります。顧客は社内の原因よりも「自社への実被害と影響」を真っ先に確認したいと考えます。
モデル別の注意
ステップごとに結果を出力するよう指示しても、最終文書だけを一気に出力してしまうモデルがあります。その場合は「まずはステップ2までを出力して」と区切って指示してください。事前質問をスキップして作成に進む場合もあるため、生成結果に [要確認] のプレースホルダーが一切ない時は、時刻などが勝手に補完されていないか確認してください。
関連プロンプト
最終更新 2026-09-02 · 誤りがありますか? 知らせる