なぜこう書くのか
「市場調査をして」と頼むと、AIはすぐに市場規模や年平均成長率(CAGR)などの数値を提示します。問題は、その数値に信頼できる出典がないことです。事業計画書に書き写した後に審査員から根拠を問われても答えられず、確認してみると似た名前のレポートすら存在しないことも珍しくありません。このプロンプトはAIに答えを出させるのではなく、自分が自力で調べるべき確認項目のリストアップにとどめさせます。
役割を「直接答えを出すのではなく何を調べるべきかを提示する役割」と明確に釘を刺した理由はここにあります。リサーチコーチという一言だけでは不十分なため、やってはいけないことも併記しています。コンテキストの段落にある事業フェーズと締め切りは、リストの長さを左右します。アイデア検証フェーズで必要な項目と、ローンチ準備フェーズで必要な項目では、重なる部分は半分もありません。
タスクの段落では「数値を直接提示するのではなく、どこで確認すべきかのみ」と方向性を反転させています。この一文が、市場分析の準備段階で最も起きやすいハルシネーションなどの事故を防ぎます。表に「なぜ必要か」という列を設けたのも同じ理由です。なぜ必要なのか言語化できない項目は、大抵の場合、今調べる必要のない項目です。
最後の段落の逆質問は、調査範囲を絞り込むための仕組みです。惣菜の定期便とだけ書くとAIはフードデリバリー市場全体を扱おうとしますが、「ターゲット地域はどこか」「すでに想定している競合はあるか」といった質問を一度やり取りするだけで、項目数は半減し実用性が跳ね上がります。回答するのが手間に感じる日は、「質問は不要なので直接表を作成してください」と付け加えるだけで十分です。
用語が分からなければAha AIで: role-prompting, hallucination
悪い例との比較
一人暮らし向けの惣菜宅配サービスの市場調査をして。市場規模と競合他社を教えて。
このように指示すると、それらしい数値や会社名が並んだ回答が返ってきます。しかし、市場規模の数値は出典を確認できず、競合リストにはすでにサービス終了した企業や架空の名称が混ざることがあります。何より、その回答を受け取ることで「調査をやりきった」と錯覚してしまい、本来自分で裏取りすべき一次情報を確認しなくなってしまいます。
バリエーション
競合分析に特化して枠組みを作る場合
{{調査のテーマ}}市場における競合他社を調査しようとしています。現在は{{事業フェーズ}}です。
どの競合をどのような基準で比較すべきか、比較表のフレームワーク(骨組み)だけを作成してください。会社名や価格、シェアなどの実際の数値は埋めずに空欄にしておいてください。列の名前と、各項目をどこで確認すればよいかのみを記載してください。
数値を空欄にして表のフォーマットだけを出力させるアプローチです。値は自分で調べて埋めることで根拠が残り、そのプロセスを通じて比較基準自体が適切かどうかも見極められます。
調査を終えて抜け漏れをチェックする場合
{{調査のテーマ}}について、{{締め切り}}までに調査した内容を以下にまとめました。
内容を読んだ上で、この程度の調査ではまだ答えられないクリティカルな質問を5つ指摘してください。それぞれの質問について、なぜその答えがないと困るのかを1行ずつ添えてください。私が書いた内容の要約やお世辞のコメントは一切不要です。
不足している点や論理の穴を見つける方向に切り替えたパターンです。「要約やお世辞は不要」と事前に制限することで、抜け漏れ検証ではなく単なるまとめ直しの回答になるのを防ぎます。
モデル別の注意
Web検索機能が有効になっているモデルは、このプロンプトを与えてもWebから拾った数値を表に埋め込もうとすることがあります。その場合は必ず参照元リンクの提示を求め、リンク先が実在して正しく開けるかをクリックして確認してください。
関連プロンプト
最終更新 2026-09-02 · 誤りがありますか? 知らせる